光市母子殺害:殺意否定し傷害致死主張へ 弁護団が方針

ここのところ新聞もあまり読んでいず、ラジオも聞いていなかったので、ネットのニュースをさかのぼって見ていたら、このニュースがあった。
私は報道で見ただけなので、真実がわかっているわけではないが、他者の家に知人でも仕事でもなく入った者が、そこで二人を殺している、という状況が、傷害致死、という罪状にあたるとはどうしてもわからず、傷害致死の主張は奇異にすら感じてならないのだ。


私は、死刑制度に疑問をもち、何年も前から、死刑制度は廃止するべきではないか、少なくとも、死刑制度の見直しを考えてほしい、と感じている。
でも、死刑制度への疑問、死刑を廃止すべき、と考えることは、死刑にさせないために罪を正当に裁かず、罰を軽くすることとは違うでしょ。死刑制度は悪だから、犯人を死刑から守るために、罪を軽くするための画策をするなら、それは、冤罪を故意につくって無罪の人間を罪人にする行為と何らかわらないのではないか、と思えるほどだ。
死刑制度は確かに見直すべきことと思うけれど、光市のこの被告は、自分のやったことの罪は公正な法で裁かれて、いかな刑が出ても受けなくてはならないのではないか、彼を救うのは、そういうことではないか、と私は思う。
私は、死刑制度の見直しを主張され、社会の中で不当な裁きで苦しむ人、社会そのものの理不尽から罪を犯してしまう人への深い理解と人間的愛情を寄せておられるこの弁護士氏を尊敬しています。
ですが、この光市のあの母親と赤ちゃんを残忍な殺し方をし、なお目的をとげた犯人を、傷害致死罪、とする、その論拠は理解できず、また人間的な大きさ、正義を貫く尊い精神も感じることはできません。・・・また、検察側が、世論や被害者の感情を満たそうという要素を重くもって、ひたすら死刑にすることを目的として裁こうとしているとしたら、これも真の正義とは思いません。(弁護側は、この検察の非正義と争うべく、傷害致死、という論点にしぼったのだろうか?・・・悲しすぎる。)

山口県光市で99年にあった母子殺害事件で、殺人罪などに問われた当時18歳の元少年(25)の差し戻し審が広島高裁で今年5月に始まるのを前に、元少年弁護団は19日、広島市内で会見し、元少年に殺意はなく、傷害致死罪にあたるなどとする従来の弁護方針を貫くことを強調した。

 また元少年の精神鑑定や心理鑑定を独自に実施する。

 1審・山口地裁、2審・広島高裁の判決は死刑求刑に対し、更生の可能性などを考慮して無期懲役だった。しかし、最高裁は昨年6月、高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。【大沢瑞季