第九回 勘介討たれる

武田晴信市川亀治郎)と山本勘介(内野聖陽)の心の襞に深く切り刻まれていく傷を、これでもかこれでもかと見せますね。
晴信は、父、武田信虎(仲代達也)によって。勘介は全ての時から鞭打たれていく。
今回は、晴信は、7000の大群をもった父がおとせなかった海ノ口城をおとしたのに、褒められるどころか、何一つ認められることもない無残。敗軍の将の立場となった勘介は、晴信の手中にただただ翻弄される。
ここの場面は見ごたえがあった。市川亀治郎内野聖陽にじっくりと芝居をさせて、量感たっぷりの臨場感を出してくれた。
この二人は成功している。市川亀治郎は、眼差しにその性質の真っ直ぐさ、清明さを表わし、声に晴信の持つ稀有な才能と気概を表わし、後姿に寂寥感を表わして堂々たる存在感を示している、と私は思った。
内野勘介は、異形の天才になりきって、私はここ数年の大河の主人公では一番だと思う。「来週も絶対観よう!」と思わせるから凄い。


いよいよヒロイン由布姫も登場し、ドラマは厚みを増してきました。
由布姫は清らかではっとする美しさでした。