壊れる脳

私は、別の介護関係のブログで、「認知症の夫を介護する生活を特別のことと思わず、こういう生活が今の我が家だ、と受け入れればいい」というような意味のことを書いたことがある。
これは、夫の状態が割合穏やかに続いていて、介護者の自分自身が余裕がある時の尊大な気持を表したものだ、と気付いて自己嫌悪である。


なぜこのように思うようになったかというと、今日(27日)の朝、夫をディサービスの施設に送っていったら、一人の男性が、玄関のところで「うーうー」と唸りながら暴れており、職員の女性が髪振り乱して必死に止めていた。唸っている声に聞こえたが、顔は薄笑うを浮かべているように見え、目が普通の眼球の色と違うような光を帯びてやはり笑いが含んでいるように感じた。何か職員の女性が懸命に自分をとめているのをおかしがっているような感じが伝わってきて、私はひどく気味の悪いものを感じた。
夫を迎えにでて下さった別の職員さんに、「家に帰ろうとして暴れていらっしゃるんですか?」と訊いたら、「そうではない。」と言われる。「ただ外に出たいの?」「いえ、そういう何かをしたい、という意識や考えはないと思う。」


私はひどく気が塞いで嫌な気分になりながらそこを去った。私は、自分が認知症になってあのようになったら嫌だ、と思っていた。そう思いながら、このように思うことと、あの男性の様子に嫌悪感を覚えたことを、自分が冷酷な思い遣りのない人間の証だと思っていた。


それにしても、脳が壊れるということは凄まじい。
実際は壊れているのではなく、別の形体が脳を支配しているだけで、本人はわかっているのかも知れない。もしそうなら、こんな恐ろしい症状はない。


・・・あぁあ、認知症をこんなに重たく考えていたら、介護なぞできないゼ。
やっぱり、こういう日もあるのサ、ぐらいに過ごしていった方が、賢い知恵というもんかも知れない。


それにしても、しんどい日が続くワイ。