第六回 晴信初陣

原作/井上靖
出演/山本勘助内野聖陽 晴信:市川亀治郎 晴信妻三条夫人:池脇千鶴 萩乃:浅田美代子 真田幸隆佐々木蔵之介 真田の妻:清水美砂 北条氏康:松井誠 信虎:仲代達也 信虎妻大井夫人:風吹じゅん


このドラマは、筋書きや歴史的な事実に重きをおくだけではなく、それぞれの人物の心の奥を描くことにも重点をおいている。先週は山本勘介が、隻眼であるその容姿の醜さなどから今川義元に辱めを与えられるなど、心の傷の深みを描いていたが、今週は、晴信が、父信虎に理解されず、自分のままを受け入れてもらえない悲しみに耐えて、尚真っ直ぐに生きる姿を表わしていた。信虎は、晴信の妻の三条夫人の純粋な気持をも、まるで晴信が計算づくでしかけたかのように決め付け、晴信の心をずたずたにするのだが、晴信は妻にそれを見せず、妻の思い遣りをしっかりと受け止める。ここに晴信の人間としての度量、大きさ、確かさを出す。


物語は、勘助は北条氏康に仕えようとするのだが、氏康は勘助に、自分は自分を信じない。自分を信じない人間は人の情けにすがる。お前は人を信じない。人を信じない人間は欲にすがる、と。恨みも欲だ、とも言う。氏康は、勘助を間者として放つ。
そうして山伏の姿になって行脚する勘助は、ミツの幼馴染(佐藤隆太)と再会し、真田幸隆と出会う。