第二十二回 三国激突

ここに書くつもりが間違えて別ブログにこの感想を書いてしまったので転載することにする。(どうもぼんやりが続いて困ったもんだィ)

[感想]風林火山 第二十二回 三国激突
由布姫(柴本幸)にやっと心満ち足りた幸せな日々が訪れたようだ。懐妊したのである。山本勘介(内野聖陽)にそのことを告げる時の姫の顔はあどけなくなって穏やかだ。勘介は姫を慕っているので胸中は複雑なものもあるだろうが心から喜ぶ。

勘介が姫に特別な想いをもっていることを他の人間が気付いていた。伝兵衛である。伝兵衛は先週行方不明になった姫を勘介が捜しに行った時のただならぬ様子からそのことを察知し、板垣(千葉真一)に知らせていた。板垣は勘介を呼び問いただす。「二人してお館様を欺いてはおるまいな」。

それに対して勘介は、由布姫を慕っていることを明かす。だがそれは「国を想うのと同じ質のことだ」という意味のことを切々と訴える。

「人は国。自分は浪々の身で国を持たなかった。どれほど自分の居場所と思える国がほしかったか。そして今、お館様(市川亀治郎)、姫様、板垣様が国である。やっと国を見つけたのです」と。板垣は、「やっと勘介がどういう人間かわかった気がする」と感銘の言葉を呟くように言う。

ここの場面の勘介の今や世俗の心情と無縁に達した訴えは、深い孤独がともないながらも透明感さえ漂わせて感動的だ。また板垣の心の深み、真の義に通じる温かさが素晴らしいと思った。


この回の中心は、信濃の小笠原や村上義信(永島敏行)の動き、今川(谷原章介・好演・・・この人、こういうイヤミなあくの強い役が出来る人なのだ!)と北条の対決など、武田家の存亡の危機に繋がる重要な流れを前に、これらの危機を治めるために晴信(市川亀治郎)は小山田(田辺誠一)の案を退け、勘介の説く今川と北条を和睦させる道を選び成功する、ことであったが、私は、内野聖陽千葉真一のあの精神的な対峙の場面があっただけで充分満足した。