晴信の心 板垣の魂

22日の風林火山は、晴信と板垣の切々たる再会の場面に涙しました。
あの場面は、下手をするとただ甘い場面になってしまいますが、そうはなりませんでしたね。
人間の魂はかくあるという希求をあのように演出し、その知の高さとと優しさの深さで成功させた演出の力に感動しました。晴信(市川亀治郎)と板垣(千葉真一)の純粋な人間性がそれを堅くとらえて何疑うことなく演じていたのが、透明な世界観を作っていたのだとも思いました。


晴信が、消えていった信方に向かって、「そちはわしを褒めてくれるか」と搾り出すように言った言葉は、その言葉自体はありふれていますが、私はここに現代人の寂しさの全部がこもっているのを感じ、ここでも涙しました。
晴信がこのような形で救われたことを、私は嬉しかったです。


風吹ジュンのとことに竜雷太が現われた場面もよかったですね。
風吹ジュンが、「甲斐のことはもうよいから、そなたは往生をとげられよ」としんしんと背後の竜雷太に告げる、あの慈しみと感謝と惜別の想いの美しさ。
演出は、人間を信じているんだなぁと、そのことが気持を落ち着かせてくれます。
次回も楽しみにしたいです。