夫の怪我

今日(日付が変わったので正確には昨日だが)、ディに夫を迎えに行くと、職員さんから、「牛乳工場の見学に行った時ころんで擦り傷をつくりました。ズボンにも血がつきました。本当にすみません」と謝罪された。
今日は短パンをはかせていたので、ころんで膝にでも擦り傷ができたんだろう、ぐらいに思って私はかえって恐縮してしまい、「お手数かけました、ありがとうございます」とお礼を言って帰宅したのだが、うちで傷を確かめようと見ると、後ろのお尻の下のつけねにガーゼがはってある。
ころんで擦り傷を作るような場所ではないし、ズボンにまで血が滲んでいるで、「どういう状態だっただろう?」と少し気になるものおこったが、本人に訊いてもはっきりしない。傷を見ようと、ガーゼをはがそうとしたら痛がって怒る。仕方がないので、そのままにして就床に。
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8日の朝になって入浴時にあててあったガーゼをはがしてみた。やはり擦り傷である。ディ施設での入浴時にころびかけて何かにぶつかりこすったのではないかと思う。
あるいはトイレの便座にドボッと挟まれた格好になって傷ができたのかもしれない。
大分前になるが、家でそういう状態になって、お尻の付け根がまだあざになっているのだ。そこと同じところでの傷である。


ちょっと目を離した時に、思わぬことが起きる状態なのだ。
何しろ、本人が、自分がどこかに移動したいと思って動き出した時、そこに何かがあると、それをよけて進むのではなく、それをまたいで行こうとするのである。
忘れもしない2000年の正月、長男と私と夫であるレストランで食事をしていたのだが、夫がトイレに立ち、すぐそばにあったので、そこを指さし、私もついていくつもりでいたら、夫はさっさとそちらに行こうとし、隣りの大学生らしい若者が数人いる席をつっきろうとして、一人の若者の頭をおさえてまたごうとしたのである。
あまりの事態に私は息がとまりそうなくらい驚いたが、数人の若者、特にまたがれそうになった若者の驚いた表情といったらなかった。今も忘れられない。
この話は後に誰かに話すと、きまって爆笑となるのだが、この時は私は笑い事ではなかった。
頭の中が真っ白になるほどショックであった。
あれから7年半だ。今では何が起ころうと平然である。矢でも鉄砲でももってこいっ、てな心境でなきゃ、介護はできん。私の場合は、暮らしそのものに対してその心境だが。